お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
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時計を見れば、もう9時になろうとしている。
1時間近く話していたみたい…


私は、ずっと言いたくても言えなかった、たくさんある疑問や不安を、順序立てることもせず、とにかく思い付くままに吐き出した。

川嶋さんが私達に言ってきたこと。

そして、響の川嶋さんへの態度に対しての不安も。

できるだけ冷静に話そうと努めたが、責めるような口調になることもあった。

それでも響はそんな私に嫌な顔をせず、怒る事もなく、一つ一つ丁寧に私の勝手な誤解を解いてくれた。


もちろん出張同行の話も聞いた。

土曜日、出張先での仕事が終わって副社長と大阪のホテルでチェックインの手続きをしていたら、なんとそこで川嶋さんに声をかけられたという。
その時の事を響は「すげぇ笑顔で話し掛けてきてさ……『何でここにいるんだよ!』ってマジでホラー以外の何ものでもなかった……生きてきた中で一番の恐怖だった…」って言ってた。

もちろん一緒に泊まったなんて事実はなく、響は「そんな事があってたまるか!名誉毀損、信用毀損で訴えるレベルだ!」と憤慨していたし。

そんな訳で、やはり帰りの新幹線の時間もバレていたらしく大阪駅でも粘着されたそうだけど、指定席の号車は違うみたいだし、さすがに来ることはないだろうと、溜まった疲労もあって油断して寝ていたそう。

だから「寝てる写真ならその時に撮られた可能性が高い」と…

もちろん、私はこの話を信じてる。

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