お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「昨日の詳しいこと、話すな」


リビングに戻り、ご飯と昨日のおかずが数品、それと奈都子がパパッと作ってくれた玉子スープを前にそう切り出した俺は、それらを頂きながら、まずは母さんと会合から本社に戻った後からの経緯を奈都子に話した。

母さんと一緒に川嶋の話を聞いたこと。
川嶋を送るように言ったのは母さんで、それは俺が川嶋に対してやましい気持ちがないことを知っているからだということ。
それでも、相手が川嶋だから充分に気を付けろと言われていたことも、全て細かく伝えた。

そして、俺が話し終わると今度は奈都子が「あのね…」と口を開いた。

「ん?どうした?」

「そのストーカー話って、狙った男の人を落とすための、川嶋さんの常套手段なんだって」

「はぁ!? まさか…」

あ…でも待てよ、確かに言われてみれば、ストーカーに狙われているにしては隙だらけだったよな…
駅からマンションまでの道のりが一番危ないと思って俺がタクシーを勧めた時も、近いから歩いてくって言ってたし…

「でも奈都子は何でそれ知ってんだ?」

「上野さんが教えてくれたの。ストーカー話の他にも、飲み会の帰りだと酔ったフリして送らせて、それで部屋に上げて、迫って…身体で落とそうとするって」

「んだよそれ……それがなきゃ昨日こっちに来れたのに、クソ」

「でも…ストーカーに狙われてるだなんて言われたら断れないよね。上野さんも、それが彼女のズル賢い所だって言ってたし」

「…上野さんは川嶋を知ってたのか」

「うん。前に、上野さんのお姉さんの婚約者さんに、川嶋さんが何度も迫ってたことがあるみたいなの。幸い、婚約者さんは川嶋さんの誘いには乗らず、無事にお姉さんと結婚されたそうだけどね」
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