お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「金曜の夜はどこも混むからな」
お店のビルを出てすぐ、そう言う桜賀にまた手を繋がれたから「そうだね、さすが新宿は人出が違うね!」なんて照れを隠して答えた。
あれ…来た時と違う道みたい。
お店に向かってた時より時間がかかってる気がするけど、さっきの出口とは違うとこから入るのかな?
それにしても、5月の夜とはいえ歩いてると汗ばんでくる。
大丈夫かな、私、汗臭くない?なんて少し気にしていたら、突然、桜賀がパッと手を離した。
「ここでちょっと待ってろ。どこにも行くなよ」
そう言うと、私の返事も聞かず、目の前のコンビニに入っていった。
〝どこにも行くなよ〞という言葉に嬉しさを隠しきれず一人ニヤニヤしながら出入りの邪魔にならない所で待っていると、お店から出てきた若い女性2人の楽しそうな声が聞こえてきた。
「…それよりさっきの男の人、すっごいカッコよくなかった?私ガン見しちゃったぁ」
「見た!ちょっとカワイイ系入っててね!あんなに整った背が高いイケメンとか」
「一人だったよね、スーツだったし、会社帰りかなぁ」
「誘ってみる?お酒」
「いいね!出てきたらダメ元で誘ってみよ!…あっ、出てくるよ」
もしや…と何気なく見ると、やはりお店から出てきたのは桜賀だった。
やっぱりなぁ。
逆ナンされるなんて、さすが桜賀。
…ここはとりあえず素知らぬフリで様子見かな。