お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「すみません、あのぉ、もしお一人だったら私達と一緒に飲みに行きませんかぁ?」
女性の一人が〝きゅるん〞て効果音が似合う可愛い仕草を見せながら桜賀に声をかけた。
あんな仕草が似合うなんて羨ましい…と思いながらチラっと桜賀の表情に視線を移すと、そこはやはりいつもの黄金スマイル。
うん、女性達の目がハートになるのも頷ける。
あれが桜賀の営業スマイルだとわかってはいるものの、これはプライベートだし何て答えるんだろ…と気になっていると「あぁ、悪いけど俺、大好きな彼女がいるからさ、ごめんね」だって!
お……お…桜賀がそんなことを言うとは…!
初めて聞くそんな言葉に驚きつつ、背を向けてプフッと軽く吹くと、いきなり私の首に、手のひらがビタ!と張り付いた。
(ぐぇっ!頸動脈…っ!)
「奈都子、待たせてごめんな。さっきも言ったけど、俺が愛してるのは奈都子だけだから。ほら、奈都子の好きなアイス買ってきたよ」
振り向くと、女性達を背にした桜賀が、私の目線に合わせて甘い言葉を発した。
しかし、私に見せていたのは黄金スマイルではなく、〝わかってるよな?俺の話に合わせろよ?〞の、ややひきつった笑顔。
…り、了解です…
じゃあ、えっと…
「…ホントに奈都子だけを愛してるの?」
なんて、やったことのない上目遣いをしながら、言ったことのない言葉を言う。
「当たり前だろ?俺には奈都子だけだよ。ほら、コレ奈都子の好きなやつ、俺も一緒に食べたいんだけど、いい?」
「うん、いいよ、響も一緒に食べよっ。後であーんしてあげるね!ウフフッ」
…自分で言って鳥肌立ったよ。ぞわぞわ。
ちょっとわざとらしかったかもだけど、まぁこれくらいカップルなら普通だよね。(たぶん)
よし、これで一丁終わり!と思ったら。
「今ちょうだい」
だって。
はぁ?今?ここで食べるの?ここを離れてから…ぐぇっ!
怪訝な顔をすると、私の首に張り付いたままの桜賀の手のひらが再度頸動脈を押した。
も…
「もぉ…アイスを待てないとか、響ってばカワイイんだから。じゃあ、ちょっと待っててね、ウフフッ」
と自分の発した言葉にまたもや背中をぞわぞわさせながらレジ袋から取り出したのは、市販のソフトクリーム。
あ、これ本当に私が好きなのだ!
濃厚でコクがあって、舌触りがまったりなめらかなの~!
パカッ
わぁぁ!美味しそう! …ゴクリ…
蓋をとると我慢できず、とんがってるてっぺん部分をバクリ!と食べた。
「んぁー!おいしーいっ!お肉とお酒の後だからかなー、すっごいおいし…」
…ハッ、ヤバ!桜賀にあげる前に食べちゃった!
え、えっと…
「一口目は奈都子のだからっ!じゃあ響にもあげるねっ、ハイ」
怖くて直視できないまま、とんがりの消えたソフトクリームを差し出した。