お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「控室はこの先になり……すみません、私は少し離れます」
南さんがいきなりスッと通路の向こうの観葉植物の陰に隠れたと思ったら、「あっ、響さん!」と聞き覚えのある声が聞こえてきた。
どこだ…と回りに目をやると、俺は全然気付かなかったのだが、左前方にいた白っぽいドレスの様な服を着ていた女が川嶋だったらしい。
「川嶋…」
とりあえず、さっき南さんに川嶋がいることだけでも聞けてよかったと心底思った。
このワンクッションがあったおかげで少なからず心の準備ができたからな。
これ、知らずにいきなりここで会ってたらマジでホラー第2弾だったぜ?
「あー響さん、久しぶりに私に会ってドキドキしてるー!見て見てこのドレス、似合うでしょ?ウフフ、可愛い?」
「…なぜここに?」
川嶋の質問はスルーしつつ、こちらから質問をすると、またウフフと笑って話し出した。
「今日はね、パパの会社の謝恩会がここであるの。それでね、パパが響さんにはお世話になったから、ぜひご挨拶したいって」
「いや、時間もないし挨拶は遠慮させてもらうよ」
というか、もう何も関わりたくないし。
「お願い、ほんのちょっとでいいの!着替えてからでいいから、パパの会場に来て!…じゃないと私、楢橋さん達の結婚式に乗り込んじゃう。…かも?」
っ…こいつ…
「…わかった。着替えたら挨拶だけする。…場所は」
「2階の〝藍(あい)の間〞よ。謝恩会はもうそろそろ始まる時間だし、着替えたら絶対来てね、私、お部屋の外で待ってるから!…じゃあパパに早く言わなきゃだから、もう行くね!あっそうだ、もしブライズメイドが必要だったら私がやるからね」
と言うや否やさっさとエレベーターへ乗り込んだ。
はー……マジかよ……
ていうか、最後の言葉のあれは何だ…?
ブライズメイドが必要だったら?
そんなの奈都子がいるんだから必要になる訳がないのに。
はぁ……とため息混じりに額に手をやると、南さんがコソッと物陰から姿を現した。
「まさかこんなに早く現れるとは思いませんでしたけど……そういうわけなんです。彼女の父親は『川八(かわはち)酒販』の社長で、毎年この時期に社員さんへの労いの会として謝恩会を開かれているんです」
「あぁ、川八酒販…酒の卸ではそこそこ老舗の大手ですよね」
「はい。…社長様はとても良い方なんですけど」
「…妻と娘が?」
「まぁ、それはさておき」
南さんはそんな言葉と含みのある笑顔で俺の言わんとする事を濁しつつ肯定すると、控室へ向かいながら「それから、さっきの川嶋の最後の言葉ですが」と切り出した。
「あぁ…一体何の話だか訳がわからなくて」
「それも大丈夫です。私共にお任せ下さい。奈都子さんはしっかりお守りし、無事に会場へお連れいたします」
「何です?その身辺警備のキャッチコピーみたいな物騒な物言いは。まるで奈都子に何か危険が迫っているみたいじゃないですか」
ハハハと笑いながら冗談で言うと、「では続きはお着替えの後に。終わりましたら私がまたこちらに伺いますね」と濁され、そのまま俺はフォーマル衣装に着替えるために控室へ入った。
南さんがいきなりスッと通路の向こうの観葉植物の陰に隠れたと思ったら、「あっ、響さん!」と聞き覚えのある声が聞こえてきた。
どこだ…と回りに目をやると、俺は全然気付かなかったのだが、左前方にいた白っぽいドレスの様な服を着ていた女が川嶋だったらしい。
「川嶋…」
とりあえず、さっき南さんに川嶋がいることだけでも聞けてよかったと心底思った。
このワンクッションがあったおかげで少なからず心の準備ができたからな。
これ、知らずにいきなりここで会ってたらマジでホラー第2弾だったぜ?
「あー響さん、久しぶりに私に会ってドキドキしてるー!見て見てこのドレス、似合うでしょ?ウフフ、可愛い?」
「…なぜここに?」
川嶋の質問はスルーしつつ、こちらから質問をすると、またウフフと笑って話し出した。
「今日はね、パパの会社の謝恩会がここであるの。それでね、パパが響さんにはお世話になったから、ぜひご挨拶したいって」
「いや、時間もないし挨拶は遠慮させてもらうよ」
というか、もう何も関わりたくないし。
「お願い、ほんのちょっとでいいの!着替えてからでいいから、パパの会場に来て!…じゃないと私、楢橋さん達の結婚式に乗り込んじゃう。…かも?」
っ…こいつ…
「…わかった。着替えたら挨拶だけする。…場所は」
「2階の〝藍(あい)の間〞よ。謝恩会はもうそろそろ始まる時間だし、着替えたら絶対来てね、私、お部屋の外で待ってるから!…じゃあパパに早く言わなきゃだから、もう行くね!あっそうだ、もしブライズメイドが必要だったら私がやるからね」
と言うや否やさっさとエレベーターへ乗り込んだ。
はー……マジかよ……
ていうか、最後の言葉のあれは何だ…?
ブライズメイドが必要だったら?
そんなの奈都子がいるんだから必要になる訳がないのに。
はぁ……とため息混じりに額に手をやると、南さんがコソッと物陰から姿を現した。
「まさかこんなに早く現れるとは思いませんでしたけど……そういうわけなんです。彼女の父親は『川八(かわはち)酒販』の社長で、毎年この時期に社員さんへの労いの会として謝恩会を開かれているんです」
「あぁ、川八酒販…酒の卸ではそこそこ老舗の大手ですよね」
「はい。…社長様はとても良い方なんですけど」
「…妻と娘が?」
「まぁ、それはさておき」
南さんはそんな言葉と含みのある笑顔で俺の言わんとする事を濁しつつ肯定すると、控室へ向かいながら「それから、さっきの川嶋の最後の言葉ですが」と切り出した。
「あぁ…一体何の話だか訳がわからなくて」
「それも大丈夫です。私共にお任せ下さい。奈都子さんはしっかりお守りし、無事に会場へお連れいたします」
「何です?その身辺警備のキャッチコピーみたいな物騒な物言いは。まるで奈都子に何か危険が迫っているみたいじゃないですか」
ハハハと笑いながら冗談で言うと、「では続きはお着替えの後に。終わりましたら私がまたこちらに伺いますね」と濁され、そのまま俺はフォーマル衣装に着替えるために控室へ入った。