お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
着替えが終わると、俺を迎えに来た南さんに、開口一番褒められた。(人はそれを社交辞令と呼ぶ)

「わぁ…とてもお似合いですね!きっと奈都子さんもうっとりしますよ~」

そう言われると満更でもない気がするが、それでもやはり懸念は残る。

「そうですかね…タキシードなんて初めて着るのでどう思われるか不安の方が大きいですけど」

「いえ!本当にこのお色がとてもお似合いですよ!自信持って大丈夫です!私が太鼓判を押しますから」

「ハハ、ありがとうございます」

「…まだお時間も充分ありますし、これから川ハさんの会場へ行かれますか?」

「そうですね、とりあえず結婚式を邪魔されては困るので」

「わかりました。では念のため桜賀さんもスタッフを1人つけますね」

え?スタッフをつける?
てか、俺も、って?
その意味を考える間もなく、南さんの隣に色黒で精悍な男性スタッフがやって来た。

背は俺と同じ位だけど、パッと見で〝絶対に筋肉すげぇよな〞と分かる身体だ。

「自分は青柳(あおやぎ)といいます!会場で怪しい動きがあったらすぐに対応しますんで!」

胸の前でグッと肘を曲げ、ニカッと白い歯を見せて笑むその様相は、ホテルマンというより本職はボディービルダーだよな…とかどうでもいい事を考えてしまうあたり、どうやら気持ちに余裕が出てきたらしい。


「では行きましょうか!桜賀さん!」
「青柳くん、館内では声はもう少し抑え目でね」
「あっ、シーッですね。すみません南さん。気を付けまぁす」

人差し指を口に当てて小声になった青柳くんに笑いを隠せずクッと漏らすと、「桜賀さん、笑った顔もカッコいっすね、自分もそんな男になりたいっす」とキラキラした目で見られて、今度は「ハハハッ」と気持ちよく笑ってしまった。
ほんと憎めないキャラだな。

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