お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
…これは逃げられた……のかな……
そう感じると、一気に今までの緊張がぶり返し、ハァッと息を吐くと胸に手を当て少し俯いた。
「大丈夫ですか?」
「はい…何とか……ハァ……」
まだ鼓動は早いが、それでもだいぶ落ち着き、ようやく顔を上げることができた。
しかし次の瞬間、私は自分の目を疑った。
「うっ上野さん!? 何でここに!? え、どうして!?」
そう、私を連れ出してくれた人物というのが、なんと窓口スタッフの上野さんだった。
「何で上野さんがその格好してるの!?」
ホテルスタッフと同じ黒のパンツスーツにゴールドのネームプレートをつけた上野さんに驚きを隠せなかった。
いやコレ、普通に驚くよね!?
「話は後です、まずは控室に行きましょう奈都子さん、さ、早く」
と上野さんに急かされたが、そこで急に、中に間宮くんがいることを思い出した。
「あっ、でも中に!」
不審者を置いて行くのは危ないのではと気になってそう言うと、上野さんがにっこりと笑って言った。
「大丈夫です、男性2人できっちり取り押さえてますから」