お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~

「先ほどは怖い思いをさせてしまい、本当にごめんなさい」と言う謝罪から始まった上野さんのお話は、全くもって想像すらできないものだった。


──全ては川嶋さん母娘の策略。

それは、間宮くんに私を襲わせて、私が間宮くんの子供を身籠るか、それが無理なら私が浮気をしたと話を大きくし、私と響を別れさせたのち、川嶋さんと響を結婚させるという、とんでもない計画──


そして、それを知った南さんが、その計画をまるっと迎え撃つために、まず妹である上野さんに話をし、それから葵と爽維くんと共有していたそうだ。
響には「たぶん姉が今お伝えしている頃かと思います」とのことだから、きっとびっくりしてるだろうなぁ。

それで今日はその計画を確実に阻止するために、さっきのあの部屋で上野さんとホテルの警備スタッフ2名が待機していたという。


「けど、なんで川嶋さんと間宮くんが繋がってたんだろう…」

「あーなんかね、ナツコが間宮に拉致られた場面をあの女が見てたみたいで、後をつけてたんだって。で、ナツコが出てった後、未練タラタラな間宮に話を持ちかけたらしいわ。〝ナツコは桜賀と嫌々結婚させられる、ナツコを助けられるのは間宮だけ〞って設定の話」

「そうなんだ……あ、それで間宮くん、訳分からないことを言ってたんだ……ってそれはそうと葵、なんで私こんな格好になってるの?」

実は今の私はてるてる坊主みたいに首から下を布で覆われている状態で、二人の衣裳スタッフさんにお着替えしてもらっている。

しかもヘアメイクまで始まって、こんなに大袈裟なドレスアップの予定じゃなかったと思うんだけど…

一体、どんなブライズメイドができあがるんだろう…
着た感じもロングワンピースではなく、あの時のドレスを試着した時みたいな感触なんだけど、本当にこれで大丈夫なの?

そんな私の不安をよそに、葵のあっけらかんとした声がカーテン越しに届く。

「まぁいーじゃん。それよか何で上野さんがいたのか気にならない?」

「あっ、そうだった!南さんと姉妹だっていうのはわかったけど、何でホテルスタッフの格好をしてたの!?」

「実は、私の前職がここなんです」

「え!そうなの!?」

「はい。今日は事情を知る支配人の許可を得て、奈都子さんを知る私がミッションに入らせてもらったんです」

「でも、どうして川嶋さんの計画がわかったんだろ…」

「姉が、小川さんが怪しい動きをしているのに気付いて、そこから秘密裏に調べていったんです。もちろん支配人には逐一伝えてたそうですけどね」

「そうだったんだ…」

もしこの計画がバレていなかったら私は今頃…
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