お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「パパのこれは、びょうきをやっつけるからきったんでしょ?ママがいってたよ。〝パパが、がんばったしるし〞なんだよね?」

「あぁ、そうだよ」

「じゃあママのは?ママのこれはどうしたの?」

「えっとね……うーん…」

まだ萌音には難しいと思って言ってないんだけど…
そろそろ伝えた方がいいのかな?でもどうしよう、何て言おう…と考えていたら、響が「萌音はママのここから生まれたんだよ」と話し出してしまった。


「モネちゃん、ママのおなかからでてきたの?」

「そうだよ。萌音はもう少しで生まれる!って時に、ママのお腹の中で苦しくなって自分の力では出られなくなっちゃったんだ。それで萌音を早く助け出すために、ママはお腹を切ったんだよ」

「ふぅん、そうなんだ…」

その言い方では、この傷が自分のせいでできたと思わせてしまうのではないかとハラハラしていると、萌音が「ママ!」と私の腕に抱きついた。

「ママ!モネちゃんをたすけてくれてありがとう!」

「萌音ちゃん…」

そう言われるとは思ってもなくて、その言葉にじわじわと涙が滲んだ。

「ふふ、助けるのは当たり前だよ。だってママは萌音ちゃんのママだもん」

「うんっ!ママは、モネちゃんのじまんのママだよ!みーんな、モネちゃんのママってかわいくていいなー、っていうんだよ!あとねー、やさしくってねー、おりょうりがじょうずでねー、あとねー、おりがみがじょうずでねー、おえかきもじょうずでねー、あとねー」

と、なかなか尽きない萌音の言葉に響が割り込んだ。

「なぁ萌音、パパは自慢のパパじゃないのか?」

「パパ?パパもモネちゃんのじまんのパパだよ!みーんな、モネちゃんのパパってかっこいー、っていってるもん」

「へぇ、そうなんだ」
「うん!」

「…………」
「…………」

無言のまま、ピカピカ笑顔の萌音と、ニコニコと微笑む響が顔を見合わせること10秒。
痺れを切らした響が微笑んだまま萌音に問う。


「…それだけ?」

「え?…えっとね、うーんと……あとは……うーんと…えっとねぇ、パパはねー、あとは……あ、おこるけどやさしいでしょ。あとは……あとはね……あ、たまにあそんでくれる!」

「んん?随分ママの時と違うなぁ?」

一生懸命に何かを思い出しながら話す萌音にニヤニヤしながらそう言うと、響は萌音をお湯からザバァッと持ち上げた。

「ママばっかりたくさん褒めてズルいなー!」
「わぁー!」
「そんな萌音はもうお風呂おしまーい!」
「えー!もっとママとおふろであそびたいー」
「だーめ。萌音はパパと一緒に上がりまーす」
「やだー!」

そんなやり取りを微笑ましく見ていると、響が私にこっそりウインクをして見せた。

ふふ、ありがとう。
萌音がのぼせそうな事に響も気付いてくれてたんだね。

「まだおふろなのー!」
「だめー、おしまーい」

ほてった顔と体で文句を言いながら手足をジタバタさせる萌音を、響が後ろからバスタオルでガシガシゴシゴシと拭いている。

それをまた微笑ましく見ていると、響が私に「後で奈都子も拭いてあげるから、奈都子ものぼせないように待っててな」と優しく笑う。

すると今度は萌音に向き合い「そんなこと言っていいのか?かわいい浴衣、先に着てママに見せるんだろ?」と言うと、「あっ、そうだった!」とあっさり機嫌を直した萌音は自分から進んでお部屋に戻っていった。


本当に響は育児のことを日々一緒に学んでくれているし、更に私のこともいつも気遣ってくれる、最高のパパで、最高の旦那様。

だから私も、響がお仕事を頑張れる様に、そして、家族で過ごす時間が楽しいものであるように、精一杯努力したいと思えるんだ。

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