お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
私は響の逞しい胸に、ぴとっ、とほっぺたをつけた。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、
浴衣越しに感じる、規則正しい大きな鼓動。
この拍動は、かけがえのない愛しい人がここに生きている証。
それを身体で直に感じられるなんて、私は世界一の幸せ者だね。
あぁ…とっても嬉しくて、安心する音…
「響、生きててくれて、ありがとう」
「私をお嫁さんにしてくれて、ありがとう」
「私をママにしてくれて、ありがとう」
「私と萌音を大事に愛してくれて、ありがとう」
「愛してるよ、響」
いつも思ってることだけど、思っているだけじゃ伝わらないこともあるから…だから、ちゃんと言葉でも表したかった。
すると、響の胸に添えた私の手が、響の大きな温かい手のひらに包まれた。
「それ、全部俺のセリフだからな?」
「え?」
顔を上げると、響は私の顔を覗き込み、フッと優しい笑みを見せた。
「俺を生かしてくれて、ありがとう」
「俺を旦那にしてくれて、ありがとう」
「俺をパパにしてくれて、ありがとう」
「俺と萌音を大事に愛してくれて、ありがとう」
「俺の方が愛してるよ、奈都子」
それらの言葉は私の言葉と同じ言い回しで、その記憶力をさすがと思うと同時に、最後の言葉だけ比較級がついていることに、響の気持ちが嬉しくて心がくすぐったくなる。
でもね、私もおんなじなんだよ。
「ううん、私の方が愛してるよ、響は知らないでしょ?本当に…毎日響が元気に過ごせていることが、何よりも尊くて、ありがたいの」
そう、あなたの存在が何よりも尊いんだよ。
「奈都子のその想いはちゃんと伝わってるよ。けど、それを踏まえた上で、俺の方が愛してるんだ、って言い切れるから」
「…何で言い切れるの?…ていうか本当にちゃんと伝わってるの?」
この質問は、疑っているというより率直に理由が知りたかったからなのだけど、響はそんな私の気持ちも分かっているかの様に頷いた。
「俺達はケンカってケンカはしないけど、それでもたまには意見が食い違ったり、気持ちがすれ違いそうな時だってあるだろ?…そんな、俺にイラつく日でも奈都子は俺を大事にしてくれてる。健やかに生活できる様に気を遣ってくれてるよな」
「響……」
まさか、そこまで理解してくれてたなんて…
ホントに私のトリセツがあるんじゃないかと思ってしまう。
「だから、俺は奈都子にこれほど愛されてんだな、って毎日感謝してるし、すげぇ嬉しく思ってるよ」
「うん…ありがとう」
「けど、俺は奈都子の全てをまるっと愛してる自負はあるから。だから俺には我慢しなくていいよ、もっとイライラも不満もぶつけていいから。俺はそんくらいで怒るような心の狭いヤツじゃねぇし。…あぁ、男関係は寛容にはなれねぇけど」
「響…」
どうしてこの人はここまで私を分かってくれてるんだろう…
こわいくらい不思議だけど、やっぱり嬉しいんだ。
「そうだね……響がイライラを見せるのって、確かに男の人絡みだけかも」
「そーだよ、男関係だけはどーしてもムリ」
「…ふふっ、あはは、それは大丈夫。私には響だけだって分かってるでしょ?」
「それはもちろんだけど、奈都子に近付こうとする男とかもダメだから」
「ふふ、そっか。けど、それは私も一緒。響の近くにいる女の人に嫉妬しちゃうもん」
「俺なら大丈夫。なんたって、スマホの待受は奈都子と萌音の可愛いやつだし、社員にも俺の愛妻家っぷりは知られてるし。それに、お守りも最強にパワーアップしてるしな」