お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~

それから一人でマンションの方へ向かって歩き出すと、1分もしない内に上機嫌で喋ってるスーツ姿の若い男性三人組に声をかけられた。


「ねーねーお姉さーん、今帰りー?一緒に飲みに行かなーい?俺らが奢るしー」
「おっ、マジかわいーじゃん、一緒に飲もうよ」
「うわ!こんなモデル並の子ってなかなかいないよー!ねっ!一緒に飲も?ねっ!行こ?」


…ただの酔っぱらいか。
かわいいって言えば誰でもついていくと思ってるのかしら。

「いえ、時間もありませんので失礼します」

当たらず障らず。
真面目な女は酔っぱらいにはつまらないので、だいたいこれで諦める。

…ハズなんだけど。

「そんなこと言わないでさー、明日はお休みなんでしょー?一緒に飲もうよー」

と、一人の男性に手を掴まれてしまった。
ハァ…面倒なのに絡まれちゃった。


「いえ、帰りますので離してください」

「あっ、もしかして変なとこに連れてかれるとか警戒してる!? 違う違う、一緒に飲みながらお話ししたいだけだから。そこの居酒屋チェーンなら安心でしょ?」

はぁ…
それじゃあ仕方ない。
〝嘘も方便 その1〞

「もう時間も遅いですし、明日も仕事がありますので帰ります。離してください」

「じゃー30分だけ!お願い!こんな可愛い子と飲めるチャンスなんて滅多にないんだって!ねっ!行こ?ねっ!お願いっ!」

しまいには拝むように手を合わせてきた。

うわぁ…三人で口説いてくるとか、ほんと面倒。
かくなる上は〝嘘も方便 その2〞。
仕事でだめなら夫の存在で諦めさせよう。

「いえ、夫もおりますから。失礼します!」


ハァ…これは想定外だったけど、こんなことなら素直に桜賀に送ってもらえばよかったな。

…なんて勝手なことを考えていたら、ぽん、と頭に何かが乗っかった感触が。

ん?これは…手のひら?


「奈都子も今帰りか、一緒に帰ろ。…ところで、この人達は奈都子の知り合い?」

えぇ!? 桜賀!?
……っと。

「…あっ響、おかえり。…ううん、知り合いじゃないけど」

急に現れた桜賀に内心驚きながらも平静を装って言うと、その三人組は「旦那さんっスかー」「かっこいい人だねー」「じゃあ気をつけて帰ってねー」とか言いながらそそくさとどこかに消えてしまった。

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