お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「奈都子ちゃん、お疲れ様」
夕方、オフィスの玄関に向かって歩いていると、途中でルナさんに声をかけられた。
「お疲れ様です。ルナさんもお帰りですか?」
「うん。そういえば、奈都子ちゃんはキャラクター、応募するの?」
「あ、はい。出してみました」
「そうなんだ、すごい!」
「いえいえ。ルナさんも応募するんですか?」
「うーん、私、そういうのセンスないんだよね」
「でも、確か何年か前の川柳はルナさんの作品が選ばれたんですよね?私が入る前でしたっけ」
「あれはホント1週間位で作ったので、選ばれたのもまぐれだから恥ずかしいの。あまり言わないで」
「えー!いやいや、そんな短期間で作れるなんて、きっとセンスがあるんですよ。キャラクターも応募してみたらどうですか?」
「ありがとう、そんな風に言ってくれるの奈都子ちゃんだけよ。…そうね、締め切りも近いし時間はないけど私も応募してみようかな。あ、奈都子ちゃんはどんなのにしたの?」
「えっと、恥ずかしいのでそれは内緒です、えへへ」
「誰かに見せたの?楢橋さんとか桜賀くんとか」
「いえ、出来上がりは見せてないですよ。家でこっそり描いて応募したので」
「そうなのね。…あっ!…じゃあ奈都子ちゃん、また来週ね」
「はい、お疲れ様でした」
という私の挨拶は聞こえているのかいないのか、ルナさんは早足で去っていった。
そして、その先を見れば…桜賀がいる。
ルナさんは桜賀に気があるみたいなんだよね。
桜賀だって…
女として色々足りてない私よりも、女性の鑑みたいなルナさんに好かれる方が嬉しいよね、きっと。