お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「…でも奈都子は本当に俺の事を男だって意識してない気がする」
えっ?
「だからそんなことないって」
そう反論すると、桜賀が手にしたグラスを軽く振り、一口飲んで言う。
「…オマエさ、他の男を家に呼んだ時もその格好してるのか?」
「この部屋着のこと?」
「あぁ」
「ううん、これは男の人の前では着たことないよ。去年買ったのだから彼氏もいなかったし。そもそも部屋に男の人を上げたのだって、社会人になってからは桜賀が初めてだしさ」
「じゃあ何で彼氏でもないのに俺を部屋に入れて、しかも、すっぴんでそんな男が喜びそうな格好をしてんだ?」
「はい?男が喜びそう?…この部屋着が?」
「あぁ」
「何でこれで喜ぶの?私はお気に入りのウェアだから着てて嬉しいけど。てゆーか何?この格好ってヘンなの?え、似合ってない?」
お気に入りだから余計に気になるんだけど!
「…奈都子。悪いことは言わない、男にその姿を見せるなよ」
「見せる場面はないと思うけど……何で?」
「何でってオマエ…」
「お願いっ!教えて!これ、私が着てるとおかしいの?お願い!ヘンならヘンって正直に言ってくれてかまわないから!お願い!桜賀サマ教えて!」
もしほんとにヘンだったら一人の時に着るから!誰にも見せないから!
桜賀に手を合わせて答えを乞うと、はぁ……と息を吐いてから教えてくれた。
「あのな、その格好はその、なんだ……男を挑発してるから…いきなり襲いかかられるかも知れねぇぞ。…着るなら一人か女だけの時か……とにかく男の前で無防備になるのはやめておけ」
「…挑発……それは色気みたいな意味で?」
「それしかないだろ。他に何を挑発すんだよ」
「じゃあ、私が着ててもおかしくはないのね?ヘンじゃないんだね?」
「あぁ、似合ってると思うけど」
「…よっ…よかったぁ!」
思わずバンザーイ!と両手が上がっちゃった。
ヘンではないどころか、桜賀に似合ってるって言われたのが嬉しくって。