お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「…あ。じゃあさ、桜賀にも挑発してるってこと?桜賀もいきなり襲いかかったりするの?」
「ブホッ!」
普通に疑問に思って聞いただけなのに、ちょうどグラスに口をつけた桜賀が吹いちゃった。
「大丈夫?はい、おしぼり」
「あぁ、わりぃ…」
おしぼりを受け取った桜賀が、口元を拭いた後、おしぼりを広げると顔全体を覆って言った。
「だから…それを聞く時点で俺を男と思ってねぇっての…」
「そんなことないって!桜賀を男の人だって意識してるってば」
そう答えると、桜賀がおしぼりを畳んでテーブルに置くと私を見た。
「…じゃあ……俺に襲われてもいいんだな?だからその格好をしてるんだよな?」
「っ!」
そんな綺麗な色っぽい顔で言わないで!
かかかかか顔があっついんだけど!
何も言葉が出せなくて、ドキドキしながら両手で熱いほっぺたを押さえたまま桜賀を凝視する。
…そのまま桜賀と見つめあって数秒…
フッ、と桜賀が優しく笑った。
「…ごめん、まさかそんな可愛い反応するとは思わなかった」
っひゃー!
かか可愛い反応ってなに!?
てゆーか、笑顔は反則!
あの黄金スマイルなんて比じゃない、もはやこれはプラチナスマイル!
もうドキドキしすぎて胸が苦しいんだけどっ!
アウアウアワアワと言葉も発せずにいると、桜賀がグラスを軽く振ってカラカラと氷を鳴らしながら、いつもの口調で言う。
「俺は襲わねぇよ」
あぁ…そっか、そうだよね…
女扱いしてもらっても、それは他の人とやっと同じ土俵ってだけだもんね。
なに舞い上がっちゃってんの、私…
勘違いもいいとこ…
一気に現実に戻ると顔の火照りもスッと収まり、いつもの様に「だよねー」って言おうとした、その時。
「俺は同意がなきゃしねぇよ。だから…奈都子がいいって言えば抱くけど」
だっだだだだた抱くぅうう !?
ボンッ!
これはまさに、頭のてっぺんから蒸気が爆発を起こす感覚。
桜賀のその色っぽい表情と声、そして人生史上初めて言われた言葉のスペシャルコンボに思考が停止し、私の全てが固まってしまった。
「…奈都子?どうした?」
「…………」
本当に言葉が発せなくなっていると、桜賀がまたフッと優しく笑って言った。
「…ごめん。ちょっと言いすぎたか」
その落ち着いた言い方に、私も少しずつ平常心を取り戻していった。