お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
ってこんなことを考えてる場合じゃなかった。
とりあえず、奈都子をベッドに寝かせるか。


…悪いな、勝手に入るぞ。

少しだけ罪悪感の様なものを感じながら一人で寝室に入り電気をつけると、コーナーに下着を干したピンチハンガーがかかっていた。

下着を見られたって焦ってたな、奈都子。
つーか、下着どころか胸元の際どいとこを俺に見せちゃってたけど。


軽く見渡すと、やはりこの部屋もきれいに整えてあった。

横長のチェストの上には、ファイナンシャルプランナーには欠かせない保険や金融、法律に関する本がズラリと並ぶ。
〝奈都子は勉強家なんだろうな〞とおぼろ気に感じていたことが、今これを見て確実なものに変わった。


…いいな。
この落ち着いた雰囲気、ここに住みたいくらいすごく安心する。

…住む、か。
奈都子と一緒に暮らせたら幸せだろうな。
毎日一緒に食事して、日々のことや奈都子への想いなんかもたくさん話して、夜は同じベッドに寝てさ…

なんて夢のような希望を想い描きながら、ベッドの掛け布団を剥いで足下の方へたたむと、またリビングへ戻った。


「…奈都子、ベッドで寝ろ」

ソファで眠る奈都子に、一応声をかけてみる。

「…ん……」

少しだけ反応を示したが、目を覚ますことなくまたスウスウと寝息を立て始めた。

「しょうがねぇな、連れてくぞ」

とか言いつつ、奈都子に堂々と触れられる大義名分ができたのが嬉しくて堪らなかったりする。


気持ち良さそうに眠る奈都子を、いわゆるお姫さま抱っこでそっと抱き上げ、寝室のベッドにゆっくりと下ろした。


仰向けで横たわる奈都子を見ていたら、ドキドキとムラムラな好奇心が沸き立ってきて…

…少し…少しだけ…

と、眠る奈都子に触れない様に四つん這いで覆い被さり、真上から見下ろしてみた。

 ・
 ・
 ・

ヤッバ!これはヤバい!これはムラムラくるやつだ!

ダメだ、やめよう。
これ以上は本気でマズい。

…っつうか、アホか?俺。ほんと何やってんだ。

ほろ酔い気分が助長させているのか、気持ちの昂りと理性が入り乱れてるっぽいな。


ふー……と長く息を吐くと、覆い被さる体勢を崩し、奈都子の脇にそーっと横になった。


あー…ほんと可愛いな…

奈都子の可愛さに癒されて眠くなってきた…

奈都子の隣で寝るとかマジで本望。
もうこんなチャンスはないかもしれない。


おやすみ、奈都子…

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