お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「……おはよう……」
「あ、おはよ、桜賀」
「…奈都子…いつ起きた……早いな…」
寝室からリビングに来た、寝ぼけ眼(まなこ)な上に寝癖がついたままの桜賀がかわいく見えてキュンと胸が甘く鳴る。
「早くないよ、もう8時半だし」
「…まだ8時半か…」
「桜賀は何時に起きてるの?休みの日」
「あー……用事がなきゃ9時でも寝てる…」
「そうなんだ、だったらまだ寝てていいよ、ベッドで休んでなよ」
「いや、それはさすがに……それに目も覚めたし大丈夫…」
なんて、まだボーっとした様子で言う。
「シャワーする?スッキリするよ」
「…いいのか?」
「うん、シャンプーとかは私ので悪いけど」
「いや、こっちこそ悪いな」
「ううん、全然!あ、体調はどう?朝ごはん、食べられる?」
「あぁ、二日酔いはないし食えるけど……そこまでしてくれんのか?」
「うん、よかったら食べてって。桜賀は和食派だったよね、ごはんとお味噌汁と簡単なおかずだけどいい?」
「出してもらえんなら何でもありがたく頂くけど…すげぇな、旅館かよ!って感じだな、ハハ」
「あはは、そんな大層なものは出ないからね。じゃあバスルームはこっちだから」
バスタオルと、予備で買ってあった新品の歯ブラシとボディタオルを渡して、私は朝食の準備をするためにキッチンへと戻った。
ていうか…何だか昨日からいつもと空気が違くない…?
全然チクチクした言い方がなくて…恋人とまでは言わないけど、今までよりもかなり甘さを感じてしまう。
…でも期待しちゃだめ。
勘違いして後で傷つくのは自分なんだから。
今は、この関係を嬉しく、ありがたく過ごさせてもらおう。