お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
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「ごちそうさまでした」
桜賀が丁寧に手を合わせて言う。
「土日の朝はいつもあり合わせのものだから、今日も簡単なのでごめんね」
もしお泊まりするのがわかってたら、朝食用のお魚とか買っておいたんだけど。
「いやマジでなに言ってんだよ。昨日から旨いもん飲んで食わしてもらって、こんなにすげぇ世話してもらってんだから、奈都子が謝ることなんか何もねぇって!俺の方こそ急に泊まるとか勝手なこと言ってさ…迷惑かけて悪かったな、きちんと宿泊代は払うから」
「あはは、それこそ『何言ってるの』だよ。泊まって、って言ったのは私なんだし、桜賀こそ謝ることなんてないから。…でもそう思ってくれてありがとう」
「…けど、マジで泊まれて良かったわ。何だろうな、ほんと、ここって落ち着くし、心が休めるんだよ、安心するっつうか。今、疲れがリセットされた感じがしてる」
ふふ、そうなんだ。少しでも癒しになれたのならよかった。あ、それなら…
「桜賀、もしうちに居ることで落ち着くなら、もう少しゆっくりしてく?だらだらゴロゴロしててもいいしさ」
「…マジで言ってる?」
「え?うん。もちろん桜賀が良ければの話だけどね。私は全然いいよ、今日はこれといった用事もないし」
「…じゃあ…お言葉に甘えて今日はここで過ごそうかな」
「うん、どうぞ。あ、着替えとかどうする?そのままでもよければ構わないけど」
「そうだな……すげぇ身勝手だけど、一旦うちに戻って、着替えてきてもいいか?」
えっ?また来てくれるってこと?
何それ、嬉しい!
「もちろんいいよ、私はうちにいるから好きな時に来てもらってかまわないから。あ…でも、もし来れない様なら連絡もらえるかな」
「わかった。じゃあこの食器洗ったら家に行ってくる」
と、桜賀が食べ終わった食器をキッチンに持っていった。
そんな律儀なところも素敵だなと思う。
「あっ、いーのいーの、洗うのは私がやっちゃうから大丈夫。ありがとね」
「そうか…悪いな。じゃあちょっと行ってくる」
そう言いながら桜賀はTシャツの上にジャケットを羽織り、荷物を持つと足早に玄関へ向かった。
「夜中もしっかり眠れてないだろうし、道中気をつけてね」
「ははっ、サンキュ。何か…」
「ん?」
「いや、何でも。じゃあ行ってくるな」
「うん、いってらっしゃい」
そんなやりとりが本当に夫婦みたいで、嬉しくて心がむずむずする。うふふ。
やだもう、顔が「うふふ」から戻らなくなっちゃった。うふふふ。