お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「それってもう夫婦じゃん」
私の部屋で葵に夕飯をご馳走した後、葵が持参した『たからばな』のスパークリングを二人で飲みながら桜賀との今までのやり取りを話すと、当たり前の様に葵が言う。
「いや、全然だよ」
「なに言ってんの、どう見ても桜賀はナツコが好きじゃん!…あたし、桜賀に聞いてみようかな、ナツコのこと、どう思ってるのか」
「や!それはダメ!」
「何でよ」
「だって、桜賀にその気がなかったらギクシャクしちゃうじゃない」
「やーねぇ、ナツコの気持ちは言わないわよぉ」
「でも意識されたら……やっぱりさ…」
「そっか。じゃ、とりま今は現状維持希望なのね、それならやめとく」
ホッ…
「ありがと、葵」
「でもさー、あれは絶対好きだって~!あーもうジレったいなぁ!」
「あははは、まぁ…そうなら嬉しいけどさ…」
「だってだって、おそろの食器にするわ、食材を買ってくれるわ、そんなの好きでもなきゃやらないって!しかも泊まっておいて、手を出さないんでしょ?…そりゃーナツコ、あんた大事にされてんのよ」
「え?何で?手を出されないんだよ?」
「だからよ。例えばさ、本気で好きな女じゃなくて、タダ飯食わせてくれるだけの女だったら、逆に簡単に手を出してるはずだよ。ま、桜賀はそんな女の家に泊まるどころか、そもそも適当な女に『ゴハン作って』なんて言わなさそうだけど」
「…そうかな…」
「そうだって。ナツコに本気だから大事にしてんのよ。ヘタに手を出して嫌われたくない!ってのもあるかもだけど」
「うーん……でも期待はしないでおく。…実は他に好きな人がいました、とか、彼女ができました、なんて聞いたらやっぱりショックだし」
「まぁそれはナツコが気のすむ様に思っとけばいいけどさ。あたしは自分の勘を信じるわ」
そう言うと最後に残ったスパークリングをグビッと飲み干した。
「じゃあ…お酒も無くなったことだし、そろそろおやすみする?」
「…ふぁわわわ……んーそうだね、肝心の話も聞けたし、寝よっかな。あ、急に眠くなってきた…じゃあソファ借りるわー」
「ベッド使いなって」
「いやー、あたしはソファの方が気楽に気持ちよく眠れるからさー、おやすみー」
葵は我先にとソファを陣取り、横になるとすぐに寝息が聞こえてきた。
寝るの早っ!
じゃあ私はシャワーしてから寝ようかな。
…ふふ、金曜日でお疲れなのに話を聞いてくれてありがとね。
何だかんだ言いながら、いつも私の味方でいてくれることに感謝しながら、既に爆睡モードの葵にタオルケットをそっと掛けた。