お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
私達のオフィスに入ると、マスコットキャラクターのパンフレットが前方にあるデスクに置いてあり、先に出社した人から順に取って見ていた。
…あれ、桜賀はまだオフィスには来てないのか。
さりげなく部屋を見回すも、桜賀の姿は見えない。
「あれだね!あたしらも見てみよ!」
葵がウキウキとパンフレットを2部取り、一つを私にくれた。
「ありがと」
ドキドキしながら開くと、見開きのページに様々なキャラクターがズラリと並ぶ。
「わぁ……すごい!さすが全国からとなると、かわいいのもアイデアが素敵なのもたくさんあるなぁ…」
「…あ、ナツコのあったよ!」
「へへ、何か恥ずかしいな」
「ほんとだ、線とかキレイに整ってるね。でも、キャラ自体はあのまんまだねー」
なんて話していると「宝花さん」と後ろから声をかけられた。
「はい。あ、保科さん」
それはルナさんの同期で、営業の 保科 典子(ほしな のりこ)さん。その隣には同じく同期で営業の 田巻 紗莉(たまき さり)さんがいる。
私につられて葵も振り向くと同時に、思いもよらない言葉が飛んできた。
「あのさぁ、宝花さんの出したキャラクターって、ルナのデザインを盗んだんでしょ?」