お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~

……え?

「はぁ!?何言ってんですか!あれはナツコのオリジナルですよ!」

私よりも先に葵が叫び、それにハッと我に返って私も。
「そうです!〝まもるん〞は私が作ったキャラクターです!」

そう断言したのに、保科さんは「あれはルナが作ったもので、あなたはそれを盗んだのよね?」と疑いを強めた。

「何を根拠に言ってるんです!? ていうか、ルナさんが出したのはどれなんですか!? そんなに似てるんですか!?」

葵がパンフを目の前に差し出して食って掛かると、田巻さんが一枚の紙を私達に差し出した。

それは今回のマスコットキャラクターの応募用紙で、そこには、似てるどころかそのまんまの〝まもるん〞のキャラクターデザインとコンセプトが書いてあった。
名前は〝まもりーぬ〞だったけど。


「これよ。…かろうじて名前だけ少し違ってるけど、デザインもキャラクターのコンセプトも同じじゃないの」

「だからどうして〝盗まれた〞になるのよ!そっちがナツコのデザインを盗んで応募したんでしょ!?」

「ルナは出してないわ。…あのね、ルナが作ったデザインを保存していたUSBメモリが無くなって出せなかったの。それで締切の後にメモリは見つかったんだけど、それが宝花さんのデスクの引き出しにあったのよ」

「え!?」
「はぁ!?」

「これでも盗んでないと言うの?」

「わ…私は盗んでません!USBメモリーなんて見たことないですし本当に何の事だかわかりません!とにかく〝まもるん〞は私の作ったキャラクターですから!」

「それ、証明できるの?ルナが言ってたけど、あなた、応募するまで誰にも見せてないんでしょ?」

「確かに今回は見せてはないですけど…」
「〝まもるん〞はあたしが昔っから知ってるわよ!ってかメモリのやつ、それいつの話よ!もっと詳しく聞かせなさいよ!嘘なんて全部事実で論破できるんだから!」

「いいわよ!ルナ、言ってやんなよ!ルナは去年からデザインを考えてたんでしょ!?ちゃんと自分のだってハッキリさせといた方がいいよ!」

保科さんと葵が火花を散らしていると、ルナさんが止めに入った。

「典子、いいのよ。私は自分の名前とか手柄なんてどうでもいいの。…私の作ったキャラクターが奈都子ちゃんのおかげで日の目を見れたんだから……奈都子ちゃんも気にしないでね。私、奈都子ちゃんには感謝してるのよ」


……はい?
ルナさん…何を言ってるの……?


今、一体何が起こっているのか訳がわからず、頭が真っ白になってしまい、ただ呆然とするしかできなかった。

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