お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「よっ、お疲れさん」
私の横からいきなり聞こえた声に、ドキン!と胸がなる。
「あら、桜賀じゃん。お疲れー」
「桜賀、お疲れ様」
「おう。さっき鈴原さんから都合を聞かれたんだけど、来週の矢野さんの会、オマエ達も行くんだろ?」
私より30㎝近く背の高い桜賀が少しだけ屈んで、私達を見ながら言う。
「行くよー。でもさぁ、保科と田巻のやたらフレンドリーな誘い方が気になってんの。何かやらかすつもりかも…」
葵がまた後ろを振り返りキョロキョロしながら言う。
「ふーん……けど、まぁ普通そんな大事な会でやらかしはしないと思うけどな。奈都子に相変わらず優しく接してくれてる矢野さんにも失礼だろ、そんなの」
「普通ならね。ってか桜賀も出るんでしょ?あんたも矢野さんにはお世話になっただろうし」
「あぁ、行くけど少し遅れるかな、用事があってさ、仕事で」
「そうなんだ」
「まぁ、あんたがいれば少しはイジメの抑止力になるしさ、早く来てよね」
「葵、大丈夫だって」
「もし俺がいない時に何かあったら教えろよ。大したことはできねぇけど」
「桜賀まで……だから大丈夫だって。二人とも心配性だなぁ」
あははと軽く笑うも、私の両サイドにいる2人が同時に「無理するな」「無理しないの!」と言うから…
「うん、無理はしないよ。ありがとう」
と2人に笑顔を返した。
そりゃあ私も不安がないわけじゃない。
だけど、私にはこんなに心配してくれる友人がいるんだもん。
それに、これは矢野さんのための集まりなのだから、この時ばかりはきっと何もされないよ。大丈夫。
しかし、私のその考えはやはり甘かったみたいで──