お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~

「葵、今日は帰ろう。…あの、矢野さんはもういらしてますか?」

「えぇ、奥の会場にいるけど…」

「葵、矢野さんに一言挨拶してこようよ」
「…そうね、わかった」

葵と課長の脇を通り抜けると、ルナさんが「ちょっと待って」と声をかけてきた。

「奈都子ちゃん、矢野さんには私から言っておくから…」

「いえ、ご挨拶だけなので」

「でも、その格好じゃ…」

「ナツコが汚れた格好で会ったら何かまずい事でも?」

「…や…奈都子ちゃんが恥ずかしいかと思って…」

「楢橋!ったくお前は鈴原チャンの優しさがわからんのか!」

「汚れた理由を聞かれたくないだけでしょう、優しさじゃなくて。…さ、ナツコ行こ」

と葵に背中を押されながら、矢野さんに会いに奥の方へ向かった。
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