お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「それはそうと…その格好じゃ電車に乗るのもシミが目立つわよね」
「ですよね。だから途中で安いカーデでも買って帰ろうかな、って。さすがにこのままはちょっと見た目が悪いですよね…エヘヘ」
「あたしが買ってくるから、ナツコはここで待ってなよ」
そんな会話をしていると、矢野さんがバッグから出したショールを私に差し出した。
「良かったらコレ使って。肩から羽織って前で押さえてたらわからないから」
「え…いえ、それじゃ矢野さんが困りますから。帰り道とか、お体が冷えたら大変ですし心配です!」
ありがたい申し出だけど、それこそ本当に申し訳ないのでお断りすると、矢野さんは笑顔で「私は大丈夫よ。実はね…」と更に声をひそめて話してくれた。
「ごめんね…私、もしかしたらこうなるかも、って薄々感じてたの。…今週、保科さん達が話してるのが聞こえた事があって、そこでチラッと〝ワイン〞て言葉と一緒に奈都子ちゃんの名前が出てきて、その雰囲気に何となく良くない感じを受けたのよ」
「…そうでしたか…」
「だからね、万が一の時のために、奈都子ちゃんに貸せる様にって、タオルとショールと私の洋服一式を持ってきたの。だから自分のショールはちゃんと別にあるから、ほら」
と、バッグをガバッと開いて見せてくれた。
「本当はこの事を事前に奈都子ちゃんに話しておきたかったんだけど、今週は会社に来れない日があったりで奈都子ちゃんに会えず伝えられなくて…」
「そんな!ありがとうございます!そのお気持ちだけで充分嬉しいです…」
「それに、奈都子ちゃんの疑いを晴らすのも力不足でごめんなさい…」
「いえ、矢野さんに信じてもらえるだけでホントに嬉しいし心強いです!」
「私からも課長には言ってるんだけどね…」
「クソガはダメですよ、矢野さん。言うだけムダっぽいですもん」
「そうね、全く聞いてもらえなくて困ったわ……あ、噂をすれば…」
「げ、ヤツだ。…ナツコ、帰ろっか」
「そうだね」
と言うと、矢野さんが私のバッグにショールを押し込めた。
「これは課長達には内緒ね、知られたらきっとうるさいから」
口元に人差し指を当てる矢野さんに「わかりました。では後日こっそりお返ししますね」と返すと、課長が来る前に矢野さんの元を離れ、そのままお店を後にした。
「ですよね。だから途中で安いカーデでも買って帰ろうかな、って。さすがにこのままはちょっと見た目が悪いですよね…エヘヘ」
「あたしが買ってくるから、ナツコはここで待ってなよ」
そんな会話をしていると、矢野さんがバッグから出したショールを私に差し出した。
「良かったらコレ使って。肩から羽織って前で押さえてたらわからないから」
「え…いえ、それじゃ矢野さんが困りますから。帰り道とか、お体が冷えたら大変ですし心配です!」
ありがたい申し出だけど、それこそ本当に申し訳ないのでお断りすると、矢野さんは笑顔で「私は大丈夫よ。実はね…」と更に声をひそめて話してくれた。
「ごめんね…私、もしかしたらこうなるかも、って薄々感じてたの。…今週、保科さん達が話してるのが聞こえた事があって、そこでチラッと〝ワイン〞て言葉と一緒に奈都子ちゃんの名前が出てきて、その雰囲気に何となく良くない感じを受けたのよ」
「…そうでしたか…」
「だからね、万が一の時のために、奈都子ちゃんに貸せる様にって、タオルとショールと私の洋服一式を持ってきたの。だから自分のショールはちゃんと別にあるから、ほら」
と、バッグをガバッと開いて見せてくれた。
「本当はこの事を事前に奈都子ちゃんに話しておきたかったんだけど、今週は会社に来れない日があったりで奈都子ちゃんに会えず伝えられなくて…」
「そんな!ありがとうございます!そのお気持ちだけで充分嬉しいです…」
「それに、奈都子ちゃんの疑いを晴らすのも力不足でごめんなさい…」
「いえ、矢野さんに信じてもらえるだけでホントに嬉しいし心強いです!」
「私からも課長には言ってるんだけどね…」
「クソガはダメですよ、矢野さん。言うだけムダっぽいですもん」
「そうね、全く聞いてもらえなくて困ったわ……あ、噂をすれば…」
「げ、ヤツだ。…ナツコ、帰ろっか」
「そうだね」
と言うと、矢野さんが私のバッグにショールを押し込めた。
「これは課長達には内緒ね、知られたらきっとうるさいから」
口元に人差し指を当てる矢野さんに「わかりました。では後日こっそりお返ししますね」と返すと、課長が来る前に矢野さんの元を離れ、そのままお店を後にした。