お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「…はぁ……」
何十回目かわからないため息をついた時、スマホの振動でブブブブブ…とテーブルが音を鳴らした。
あれ、お母さんから電話なんて珍しい…
「もしもし?お母さん?」
『あぁ、なっちゃん。…あのね、葵ちゃんが教えてくれたんだけど、なっちゃん、会社で酷い扱いを受けてるんだって?』
「あ……」
『いいのよ、言ってごらん。なっちゃんはどうしたい?…辛かったら辞めてもいいんだからね』
「お母さ……」
その、何一つ私を責めない言葉に、今まで必死に築いてきた心のバリアの壁が脆く崩れ、私はわんわん泣きながら、こうなった原因と今までされてきたことを包み隠さずお母さんに話した。
お母さんはずっと相づちを打ちながら、涙声で聞きづらいであろう私の話を根気強く聞いてくれ、そして最後にこう締め括って、電話を終えた。
『…わかったわ。そんな人達のいる職場は辞めなさい。なっちゃんが辛い思いをする必要はないんだから。ただ…もう少しだけ待ってくれる?お母さん、必ずなっちゃんを助けるからね』