お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
これは、失恋決定、です
10月に入って2回目の木曜日。
矢野さんと桜賀のいなくなった多摩支店は、私にとって地獄の様なものだった。
私が話し掛けた際、無視せず対応してくれる人もいるけど、その中の半数以上が私に関わるのは必要最小限にとどめたいという姿勢が見てとれる。
それは、オフィスで「アイツに関わるなよ」「手を貸す奴は同罪だ」と、曽我課長が睨みを利かせているせい。
そんな状況にため息が出るけど、お母さんに「辞めてもいい」ではなく「辞めなさい」と言われたことを思い出すと、心の重荷が取れて随分と過ごしやすくなった。
うん。
〝辞めたくなったらいつでも辞められる〞
これは大きな心のお守りになった。
そして先日。
お母さんからの電話で、私はお見合いを勧められた。
でも、桜賀のことはまだ諦めきれないし、この時はお見合いを受けるつもりは無かったのだけど……翌日の金曜日、そんな私の考えを変える出来事が起こった。