お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~

「えっ、桜賀がお見合い…?」

「そう!保科達がトイレで話してた。桜賀がうちの吉澤副社長の娘とお見合いするらしいって。……ってその反応はやっぱナツコも聞いてないんだね、桜賀から」

「うん…全く…」

「そっか。さすがに桜賀もナツコには言いにくいか…」


お昼休みのいつもの公園。
10月でもまだ20℃以上あるし、陽射しがあれば暑くも感じる。

でも、桜賀のお見合い話を聞いて、心の中はどんどん芯から冷えていった。


「ま、お見合いするって言っても、結婚すると決まった訳じゃないし!それにさ、桜賀も副社長から言われたんじゃ断れなかったんじゃない?だからお見合いする〝だけ〞とかさ」

「う…ん……」

「だって、桜賀は絶対にナツコが好きなんだから!」

「葵……そうと決まった訳じゃ…」
苦笑いで言うも、葵は譲らない。

「ううん、絶対なの。いい?今度桜賀から夕飯のお願いが来たら会うんだよ!」

「……ん…もし言われたらお夕飯作るよ。……言われることがあったらね」


だって、桜賀は私から離れようとしてるんだから…

悲しいけど…
寂しいけど…

もう「夕飯作って」はないと思うんだ…

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