お守りに溺愛を込めて～初恋は可愛い命の恩人～

あ…どうせ最後になるなら…これも聞いてしまおうか。

「あのさ、桜賀って、ルナさんと付き合ってたことがあるの？」
「それも聞かれてたのか。…あぁ、付き合ったことがあるのは事実。大学の時」
「そう……同じ大学だったの？」
「いや、同じバイト先の奴から数合わせで合コンに呼ばれて、出たらそのメンツの中に鈴原さんもいて、そこで初めて会った感じだけど」

「…どうして別れちゃったの？」
「え？」
「…って失礼な質問だったね、ごめん」
「いや、別にいいよ。何て事ない、俺に傷があるのが許せなかったんだと」

「…傷？」
「俺、小学生の時に手術したんだよ、心臓の。その時の傷…手術痕がずっとここに残ってんだけど、鈴原さんはそれが許せなかったってさ」
と、桜賀は親指で自分の胸を指した。

「…あの……その〝許せなかった〞って…何？」
「俺もよくわからねぇけど、何か〝完璧にきれいじゃないとダメだ〞みたいな事を言われた気がする」
「…完璧にきれい…って、何それ…意味がわからないんだけど…」
「…奈都子もそう思うか？」
「うん…」

「ハハ、分かってもらえて良かった。…でも、手術痕が無理だっつって離れてった女は他にもいたけどな」
「そうなの？」
「あぁ。もう気にしてねぇけど、言われた時はちょっとヘコんだな、大学生だったし」
「当たり前だよ！そんなこと言われたらいくつだろうと傷つくよ！」
「…ありがとな」

「桜賀は…ルナさんを追いかけてココに入ったの？」
「まさか。ここにいたなんて思いもしなかったよ。っつーか、実は今日向こうから言われるまで全然分からなかったし」
「え？気付いてなかったの？」
「あぁ。付き合ったって言っても二か月とか？三か月も無かったんじゃねぇかな。名前も顔も忘れてたし、雰囲気も昔と違ってるからな。…当時はもっと外見が派手な感じだった気がする」
「へぇ…」

そっか、それならルナさんとの事を話さないのは当然か。知らなかったんだもんね。

「…ルナさんとよりを戻そうって思わないの？」
「あぁ。別に何とも思ってないし…っつーか俺、嫌いだから、あの人」
「え？嫌いなの？」
「あぁ、嫌い」
「何で？」
「いろいろとな」
「…フラれたから？」
「いや、それはねぇ。別にフラれた事も何とも思っちゃいねぇし」
「そうなんだ…」