君と始める最後の恋
「え?」


 初めて先輩から手を繋いでくれて、繋がっている手から体温を分け合っていく。


「夜だし、人通り少ないから。」


 そうぶっきらぼうに言う先輩が好きで仕方ない。こうやって最後には私の我儘を聞いて甘やかしてくれる。

 そんな類くんにじんわりと心が温まっていく。


「大好きです、類くん。」


 そう伝えると先輩の顔がこちらに向く。少し驚いた様なそんな顔。

 類くん呼びがその表情を見て恥ずかしくなってくる。勇気出してみたけど、何も反応してくれないから尚更恥ずかしい。


「…あっそ。」


 それだけ返すと私の手を引いてどんどん歩いていく。

 もう少し歩いたら私と類くんが離れなきゃいけない所まで来ちゃう。どうしよう、離れがたい。もう少しゆっくり歩きたいのに、類くんはペースを落としてくれない。

 そんな事を考えていると、いつの間にか類くんの家の方向に向かっていた。


「え、類くん。家の方向…。」

「帰すなんて言った?」

「え、いや、いやいや、言われてないけどですよ!」


 そんな強引な事を言いながら手を引いてどんどん先輩の家に近付いている。

 私の言いたい事全部分かってくれてる?
 どうしよう、嬉しくてニヤけてしまう。


「キモ…。」

「彼女に向かってキモいはやめてください!」


 そんな言い合いをしながら、家までの道のりを先ほどとは違う明るい気持ちで歩いていく。
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