君と始める最後の恋
伝わってるよ
 今日1日を無事に終えて、最後に結絃と1日の振り返りをする。


「にしても思うけどさ、この会社マジででかいよな。まだ場所おぼえらんねぇや。」

「仕方ないよ、私も新卒で入ってきた時何もわからなかったし。」

「だよなー、てかさ、2課から異動になったって言ってたけど何で異動になったの。」

「あー…。」


 そうだった。タイミング的にドンピシャだったけど知らないんだよね、結絃は。と思わず苦笑いしてしまう。

 言うきっかけも出来てちょうどいいのかもしれない。

 お昼に志織ちゃんや小川くんに、遠距離で別れた事が危険だと言われたことを真に受けているわけではないけれど、恋人がいるとはっきり言っている事は、もし何かトラブルになりそうなことが起きても予防線になるのではないかと思った。

 結絃が私に対して気持ちがあるとは思っていないけれど、念の為だ。


「私が最近まで補佐してた先輩とお付き合いしてて。」

「あー…、ここ部署内恋愛禁止だからってこと?」

「そうだね、もう1年位は秘密で付き合ってたんだけど、同棲をきっかけにバレるからって。」

「へー、見てみたい。お前の彼氏の先輩。」

「何その興味。」


 笑いながらそんな話をして帰り支度をする。


「2課って事だよな。そう言えばすげぇイケメンに最近彼女出来たって…。もしかして。」

「推理し始めるのやめてよ!恥ずかしいし…。」


 彼氏について言及されるのはなんだか恥ずかしい。類くんの存在自体が恥ずかしいとかそういう話ではなくて単純に照れくさいのだ。

 それに類くんとの事、今日来た結絃にも噂が伝わる程広まっているのかとそこにも驚きだった。
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