君と始める最後の恋
「…本当、酷いよ。今更。私が今の彼氏をどれだけ好きかも分かってるよね?私が大学時代恋愛なんていいって離れて、そう思ったの全部結絃のせいで、ようやく本気で心から好きになれた人と交際出来て、結絃との事もようやく全て傷が癒えた気がしたの。」

「…ごめん。」


 責める様に言葉にしてしまっている私に結絃は謝罪するだけだった。もう今更あの時の事を詰めても仕方が無いと分かっているのに、自分勝手な結絃に怒りを収めることは出来なかった。


「…遠距離になる時、私に何も相談せずに決めたくせに。連絡一度もしてこなかった癖に、今更好きだなんて言ってこないで。」

「言い訳になるかもしれないけど、遠距離の時は完全に俺達なら大丈夫だって思ってた。話し合いも碌にしていないのに、郁なら受け止めてくれるって。連絡出来なかったのは…、別れたあの日、あんなに泣かせて、完全に嫌われたと思ったから、怖くてできなかった。」

「大丈夫なわけ、ないでしょ。」


 距離が離れても大丈夫は、事前にどれほど話し合いをして、きちんと気持ちを貰って、それでお互いに大丈夫だってちゃんと実感して成り立つものでしょ。

 それを私ならとか、そんな簡単な言葉で全て押し付けて来ないでほしかった。
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