君と始める最後の恋
打ち勝てない嫉妬と独占欲
 あの飲み会の後からも変わらず私は結絃の補佐をしている。

 当然ただの同僚として。結絃は何度か私と話そうとしてるけど、私が距離を置いて接しているので2人で話す事は無かった。

 その話を志織ちゃんにしたんだけど案の定…。


「ほらあ!言ったじゃないですか!向こうはどう思ってるか分からないって!」

「うん、もう返す言葉もない。」


 志織ちゃんの言葉に苦笑いしていると、むすっとした表情でこちらを見ている。


「大体私の郁先輩は可愛いに決まってるんですから、誰しも一緒にいるだけで惚れちゃうんです!自覚してください!」

「ツッコみたい所は山程あるけどありがとうね!?そんな自己肯定感爆上げしてくれて!」


 怒る所が変な志織ちゃんに少し笑ってしまうけど、志織ちゃんと話すと毎度元気が出る。


「にしても、何でどいつもこいつも彼氏持ちに告るんですかね?少しでも脈あるとか思ってるんですかね?それとも郁先輩なら行けるとか思ってる?本当に許せないんですけど。」

「志織ちゃん怒りすぎ…。」

「だってそうじゃないですか。一ノ瀬さんと郁先輩は色々あって大恋愛の末両想いですよ!?誰にも邪魔して欲しくないんです。」


 全てを知ってる志織ちゃんはこんなにもいつも言ってくれる。本当に優しくていい子。私だって何も思わない訳じゃないし、あの日は珍しく感情が爆発して、結絃にも色々と言ってしまったけれど、これ以上あの件に関して何かを言うつもりはもう無かった。
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