君と始める最後の恋
 突然後ろから腕をガッと上げられて驚く。


「へっ!?」

「…もう業務終わった?」


 類くんがここに居て、私も結絃も突然の事に驚きが止まらない。


「あ、はい。チェック終わったんで、終わりっすけど…。」

「そう、じゃあ連れ帰るから。この子。」

「ちょっと!?類くん!」


 鞄を類くんが持つとそのまま腕を引いてオフィスから離れる。

 何でここに居るの?何で急に腕引っ張るの!?とか聞きたい事は山ほどあるのにどれも言葉には出来なかった。





「─はは、独占欲強すぎだろ。一ノ瀬さん。」




 そう苦笑いする結絃には誰も気付かない。
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