君と始める最後の恋
 ある日の休日、結婚式場の予約までは済んでいたけど、類くんと色々決めなきゃいけない事が多くて何も話が進んでいなかった。

 相変わらず類くんの仕事が忙しすぎて、全然話し合えていない。

 だから話し合うとすれば休日しか無いが、そんな類くんは今もノートパソコンを開きながら仕事をしていた。

 休日位休んだらいいのにとは思うけど、頑張っている類くんに水を差す様な事だ。言えない。

 それでも結婚式の事も考えてほしいと若干の不満は持ってしまう。


「…類くん。今日も忙しいですか?」

「ん、何。」


 ノートパソコンから視線を逸らしてこちらを見る。

 忘れてるのかな、結婚式の事。
 もう数か月後には結婚式なんだけど。

 時々結婚式よりも仕事の方が大事なのかなとか思ってしまったりする。


「結婚式なんですけど、規模とかどうするか決めて行かないと。色々手配もありますし。」


 そう言うと類くんは「ああ」と声を漏らして、ふいとパソコンの方に視線を逸らしてしまう。

 まだ5カ月も先だから実感が湧いていないのかあまり一生懸命取り合ってくれない。

 その態度に少し私もムッとしてしまう。

 私達は基本的に会話の時間が最近少ないんだから決めれる事は早めに決めておきたい。ギリギリで決めたくはないから。

 ソファーで隣に座って「類くん、今じゃない方がいいなら言ってください」と言いながらノートパソコンをそっと閉じる。

 ただでなくても夫婦の時間が少ないのに、私が話していることをないがしろにされたくはない。


「ごめん、俺は、正直結婚式にこだわりないから規模とかは任せたいんだけど。」


 知ってた、結婚式なんて類くんからしたら開かなくても良い物なんだろう。

 何のために結婚式用に貯金をしてきたのか分からなくなる発言にまた不満が募る。

 別に開きたくないなら写真だけでもいいではないか。
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