君と始める最後の恋
「まだ確信はしてないんですけど、私…多分好きな人出来ちゃって。」

「えっ!好きな人!?」

「声大きいです!郁先輩!」


 そう言いながらしーっと人差し指を口元に持っていく志織ちゃんを見て、両手で口を抑える。

 志織ちゃんの浮いた話なんて聞いた事が無かったからテンション上がっちゃった。


「ち、ちなみにお相手は?」

「…小川くん、なんですけど。」

「え、待って。何で?」

「うわ、なにこれ。顔あっつい。」


 そう言いながら手で顔を仰いでる志織ちゃんをにやけ顔で見てしまう。


「(小川くんと志織ちゃんなんて何てお似合いなの…!)」


 私からしたら2人共可愛い後輩だ。2人に幸せになってほしい。

 それに、いつも可愛いけど恋をしている志織ちゃんの表情は一段と可愛かった。こんなの落ちない男の子は居ない。

 志織ちゃんはお茶を飲んで気持ちを落ち着かせると、そのグラスを机の上に置いて軽く咳払いをした。


「何か、この間2人で残業してたんです。」

「う、うん。」


 担当と補佐なら2人きりで残業も珍しい話じゃない。

 ましてやこれだけ一緒に長くやってて同期で何も起きなかったのも凄い事だと思う。


「その時に気付いたら仕事してる姿が格好良いなとか、不愛想な男がふとした瞬間に笑う姿が良いなとか思っちゃって…、これってあれ?みたいなことになりまして。」

「うわ、恋だ…。」

「やっぱりそうですよね~!うわ、自覚すると恥ずかしい…。」


 反応がどこまでも可愛らしい志織ちゃんに思わずにやけが止まらない。
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