君と始める最後の恋
「資料探しの為だけなんかに君を呼ぶ訳無いでしょ。もうちょっとここに居なよ。」

「え?」


 思わぬ言葉に何も理解出来ずにいると、類くんは手を腕から離してポンポンとさっきまで座っていた椅子を軽く叩いている。

 もう一度座れと言っているのか、ひとまず腰を下ろして類くんの顔を見る。

 何を意図しているのか全く分からない。

 結婚しても分からない事だらけだ。



「君が誰がどうやっても分かりやすく整理してくれてるんだから、君が居なくてもすぐ見つけられるし。資料の為だけなんかに呼ばない。」


 サラッと私の仕事ぶりも褒められていて、一体何のご褒美なのか。

 でも何のために私が呼ばれたのか全くもって分からなくなってしまう。

 意味の分かって無さそうな私に軽く溜息を零すと「いつまで経っても鈍い。」と言葉を漏らしていた。


「類くん、私は言ってもらわないと分からない人間です。」

「開き直って誇らしそうに言わないでよね。」


 そうツッコむ類くんに少し笑うと、類くんも私につられる様に少し笑ってくれた。

 今日志織ちゃんと話した事全部わかる。

 その気の抜けた笑顔、私にしか見られないと思うからこそ嬉しくなるし、その笑顔が愛しく感じる。
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