君と始める最後の恋
 秋がお茶を淹れてくれて2人でリビングに戻ると、類くんとお母さんが和やかな雰囲気で話している。

 営業で知らない人とも話すのに慣れっこなのか、緊張した様子も無いし。いつもの猫被りをした姿で、にこにこと愛想を振りまいている。

 このモードの類くんは王子様っぽくて好きだったりする。


「結局秋がお茶入れたの?」

「そうだよ、というかもういいんじゃない?男が女がとかその風習。」

「だめよ、それぞれ男女で向き不向きが違うんだから。それに女は愛されるために従順で居る必要があるのよ。そうしなかった女性が、不倫されたり捨てられたりしたの見てきたもの。」


 凄く極端だな。
 自分がされたわけでもないのに。

 お母さんに何かを言っても1言ったら10返ってくるのが嫌で、何も言わず聞いているけど、本当は凄く聞きたくない。

 類くんの前にお茶を淹れると、類くんも空気感に戸惑っているのか口を開こうとはしない。

 今は平和的に終わって早く帰れることを願っている。


「郁は大丈夫なんでしょうか?上手くやってますか?」


 心配そうなお母さんが類くんに問い掛けると類くんは首を傾げている。


「大丈夫…ですか?」

「この子には本当うるさく教えてきたので。それなのに大学まで行って今も働いているでしょ?」


 始まった、その話。
 もう何度も聞いた、専業主婦になった方が良いってアドバイス。

 類くんは郁の好きな様にしたらと言ってくれているからそれに甘えているけど、何故かお母さんがここまでうるさく言う。

 家庭の事に口を出すの本当にやめてほしい。
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