君と始める最後の恋
小さな反抗
─────数日後


 家でゆっくりしていた金曜日の夜。

 類くんがお風呂に入っている間に、スマホを見ていると藍から電話が入っている。

 こんな急に電話があるなんて、珍しい。
 それも随分遅くの電話なんて。
 気になって電話を折り返すと、藍はすぐに電話に出た。


「藍?ごめん、電話に出られなくて。どうしたの。」

『…家出した、泊めて。』

「え?」


 話を聞くと、今バスに乗ってこちらに向かっているらしくて、今は休憩中のサービスエリアらしい。後2時間後の日付を超える前にはこちらに着くという。

 家出なんて初めて聞いて驚いた。


「な、ええ!?家出…!?」

『お姉ちゃん泊めてくれなきゃ野宿になっちゃう。いいの、私が変なのに連れ去られても…。』


 どうしてこの子は急に動いてそんなふてぶてしい態度で来るのか…。

 頭を抱えていると「何してんの」とバスタオルで髪を拭きながらリビングに来ていた。

 その姿は色気が凄いので本当にやめて頂きたいとそれどころでは無いのに私の本能が叫んでしまっている。


「(水も滴る良い男ってか!)」


 意味の分からない心境で類くんを見ていると類くんは顔を顰めていた。


『バスの休憩終わっちゃう。じゃ、駅前。迎えに来てね。来なきゃ、鬼電するから。』

「ちょっと、藍!?」


 話し合おうとした時には既に電話を切られていた。

 こういう時、どうすれば…。まず、電話!と焦ってスマホを落とすと、類くんがそのスマホを拾い上げて「落ち着け、何があった?」とソファーに座る私に目線を合わせる様に前でしゃがんでくれる。

 それからスマホを手に握らせてから落ち着かせる様にその上から私の手を握ってくれた。


「…その、藍が家出したらしくて、2時間後にこっちに着くみたいで、泊めてって…。」

「凄い行動力。行き先が分かってるだけ良いじゃん。慌てずにまずはお義母さん達に連絡して。」


 そう言って立ち上がって洗面所の方に戻っていく。

 こうなっても類くんは冷静だ。
 それに比べて私は焦った上に、類くんの色気にやられてた…!
 何をしているんだ、私。
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