君と始める最後の恋
思い出の場所
 退職の話をして1か月程、いよいよ退職まで1週間程になって、退職の日に3課と2課合同の飲み会を開いてもらえることになった。

 私の送別会という名目で開いてくれる事になったのだけど、3課の方々は2課の酒癖の悪さを知らないから少し心配になる。

 それでも2課の方も可愛がってくれていたのだから、一緒に送別会をしてくれるその気持ちは凄く嬉しい。

 私はというと、結絃へと、新任の補佐に引継ぎがあってかなり忙しい日々を過ごしていた。

 口頭での引継ぎ、資料作り、日々のタスクは楽なものではない。

 いつも類くんと帰っていたのに、最近は中々一緒に帰れなくて、最近は家に帰ると類くんが家事を終わらせてくれているし、遅くなったら車で迎えに来てくれる。「(このスパダリが~~~~~~~!)」と思いながら毎日感謝している。

 そしてお昼は決まって志織ちゃんとお昼を一緒にする。


「…寂しい、後1週間なんですか?」

「志織ちゃん、それ退職報告してから毎日言ってる。」

「だって!ああ、一ノ瀬さんが憎い。私の郁ちゃん先輩幸せにしなかったら八つ裂きに…。」

「それ普通結婚する時に言うんじゃないの。時間経ってから言われても手遅れじゃない?」


 上から声が聞こえたと思えば、類くんが隣に腰掛けながら小川くんと来ていた。


「ここいいです?って図々しい一ノ瀬さんはもう座ってますけど。」


 周りを見ると席は空いている様子が無く、仕方なくここに来たんだろう。

 この二人が仲良くお昼を一緒にするようになったのが微笑ましくて、思わず口元が緩む。


「郁先輩、幸せじゃなかったらうちに家出してもいいですからね。私が郁先輩を嫁に貰うので。」

「とか言ってるけどどうすんの、君の奥さん。」

「「奥さんじゃありません!」」


 類くんの揶揄いに志織ちゃんと小川くんが食い気味で答える。

 本当お似合いの2人だな。

 類くんはふっと笑うと、買ってきていたコーヒーに口を付けている。

 その姿を何となく見ていると目が合って「いる?」と小さめのペットボトルに入ったレモンティーをポケットから出してきた。


「え、何で?」

「間違えて買った。」

「わー、ありがとうございます!」

「(間違えるわけないだろ。)」


 嬉しそうにする郁がいるので言わないけど、志織と小川は顔を見合わせて2人同じことを思っている。
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