君と始める最後の恋
「…お呼びですか?一ノ瀬先輩。」

「そんな大した用事じゃない。ここじゃ落ち着かないから廊下出て。他にも仕事してる人居るし。」


 そう言われるがままオフィスを出て、廊下の端の方で類くんと向かい合う。

 どうしたんだろう。仕事も残してきちゃってよかったのかな。と、そんな不安が少しだけ残る。


「少しなら社内巡りできるけど、どうする?」

「え?」

「君の事だから最終日は思い出の場所に行ってとか、思ってたんじゃないの?」


 私の事を相変わらずわかっている類くん。
 それも叶わないって思っていたけど、結絃や類くんの気遣いで叶おうとしている。それも、類くんと一緒に。


「…いいんですか?私の子供みたいな我儘に付き合って貰っても。」

「少しなら良いでしょ。早くしないと時間無くなるよ。」


 急かされるがまま歩き出す類くんの背中を追いかけて横に並ぶ。

 一緒に回ろうと誘ってくれていたわけじゃなくて、さりげなく手配してくれる類くんらしい優しさに自然と笑みがこぼれる。

 最初から最後まで素直じゃない先輩。
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