君と始める最後の恋
 一番初めに来たのは休憩室だった。

 唯一私が弱音を吐ける場所で、初めて2人で類くんと話した場所。

 休憩室は滅多に人が来ないから、類くんへの悪口を言っていたらそこにレモンティーを買って入ってきた。


「今だから聞くんですけど、本当にあの日間違えて買ったんですか?レモンティー。」

「…まだ覚えてたのそれ。」

「覚えてます!今思えばあれも類くんの事好きになるきっかけだったなと思いますから!」

「何で、そんな大した事してないでしょ。」

「いいえ!あの時に初めてこの人実はすっごく優しい人なんだなって知ったので。」


 そう言って笑うと類くんは少しやりにくそうに顔を逸らす。

 褒められることに相変わらず慣れていないのか、褒めると時々こうして少し照れ臭そうにする。

 これも私しか知らない一部なんじゃないかと思う。


「本当は、慰めるために買ってくれたんですよね?だって、レモンティーと類くんがいつも飲むお気に入りのカフェオレは違う自販機ですから。」


 この間も言わなかったけど、ずっと気付いていた。
 間違えて買ったなんて絶対嘘だって。

 素直に君の為に買ってきたなんて言える人じゃないの分かってる。そんな不器用な優しさがずっと好きだった。


「…そうかもね。」


 類くんはそれだけ短く返事をすると、照れくさいのか休憩室を出て行く。

 ほんの少しだけ耳が赤く染まっていた気がして、それも私しか知らない秘密。
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