君と始める最後の恋
「最後は絶対ここです!」


 最後に来たのは私が告白された非常階段。

 類くんは特に何かを反応するでもなく、壁に寄り掛かる。


「本当、何でもない場所なのに、類くんが好きだって言ってくれた一番初めの場所って言うだけで、一番思い出深い場所になっちゃって。」

「…こんな所で言うつもりじゃなかったし、忘れてほしいけど。」

「忘れません!ロマンチックじゃなくても、私からしたら凄く嬉しかった出来事ですし。」


 そう言いながら類くんの隣に立って自分も背を壁に預ける。


─────桜庭さん、好きだよ。


 あの日の事、今でも鮮明に思い出せるのにもう随分前の事なんだな。

 まだ桜庭さんと呼ばれていた時が懐かしい。
 私は一ノ瀬先輩と呼んでいた。
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