君と始める最後の恋
「入社式の日、本音を言うと凄く嫌だった。指導係。」

「でしょうね、猫被りながら対応してた割に小声で「面倒くさ…」って言ってましたし。」

「聞こえてた?地獄耳だね、君。」

「てか、お顔に出てますから!」


 類くんはよく見れば本当に分かりやすい。
 どんな反応もちゃんとサインが出ていて、そんな所にほんの少し可愛さを感じてしまった私も居た。


「本当、意味わかんない事やらかして仕事増やすし、思った以上に何も出来ないし、ポンコツだし、威嚇はレッサーパンダだし。」

「最後関係無いですよね!?」

「でも…、3課に行く時は本当に嫌だった。俺が一から育てて、何で他の奴に使わせなきゃいけないんだろうとか。他の男にもああやって気を回して、好きになられたらとか。そもそも君を元々好きだった男が担当に着いたけど。」

「…うっ。」


 そう言われると何も言い返せなくなる。
 私も予想外の展開だったし。

 私は悪くないと言えど、私が類くんの立場でもきっと凄く嫌だったと思う。
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