君と始める最後の恋
「あ、ありがとうございます。」

「てか、既にちょっとほろ酔いでしょ。やめとけば。」

「…酔ったらいつもみたいに連れ帰ってくれます?」

「普通に嫌だけど。」


 そう言いながら少し笑う類くん。

 嫌だけどとか言いながら絶対置いて帰るような事はしない。

 もうこのツンデレ具合も愛おしくて仕方ない。

 そんなことを考えていると私達は一気に囲まれる。


「この際だから聞きたかったんだけどさ、2人っていつから付き合ってたの?」

「え?」


 類くんがこの手の話は得意では無くて逃げようとすると、小川くんに捕まえられている。


「何のつもり小川。」

「俺だってこんな役したくないですよ。さっさと吐いて解放してください。」


 何かで脅されたのか小川くんもげんなりした表情をして類くんから顔を逸らしていた。

 2人揃っての会社の飲み会なんて珍しいからか、今の私達は完全な的になっていた。


「てかどっちが好きだったの?告白したのは?」

「私です!」

「俺でしょ。」

「え!?私でしょ!」


 毎度こういう話になる度にどっちがみたいな感じに私達もなる。

 そんな私達は何で揉めてんだこの二人と不思議がられるけど、これだけは私も譲りたくない。

 きっとあの時好きだって私が言っていなかったら類くんはきっと私を気にもしてくれていなかったと思うから。
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