君と始める最後の恋
──────────☁◝✩




 それから約1年2か月後の梅雨入りした時だった。

 じめじめとして湿度は高く、気温もかなり上がってきている。


「もう来月なんですね。生まれるの。」


 休日に志織ちゃんと小川くんが2人で会いに来てくれて、冷たい飲み物を2人に出して向かいに座る。


「そうなの、もうお腹が重くて重くて。」


 昨年の1年の結婚記念日の時に妊娠発覚して、臨月に入っていた。翌月には会える予定で、類くんも私も楽しみにしている。

 お腹はかなり圧迫されて後期悪阻というものに今はかなり苦しめられている。

 多少動かなきゃと思うけど周りのサポートが手厚くてよく怒られる。

 そんなに動き回らないで安静にしなさいと言われてしまうから、よく沙羅さんやお義母さんが来て家事などを助けてくれたりもする。


「というか、女の子なんですよね。一ノ瀬さん可愛くて仕方ないんじゃないですか?」

「男の子でも可愛いと思うけどね。」


 志織ちゃんの問いに応えながら、洗い物を片付け終わった類くんが私の隣に座った。


「可愛いとか素直に言えたんですか、一ノ瀬さんって。郁さんにも言えます?」

「何が言いたいか分からないけど人の事茶化す前に自分達の事をよく考えたら。」

「うわ、余計なお世話!」


 相変わらず小川くんと類くんの関係性は変わっていない様で、そんな言い合いが続いている。

 これでも仲が良いのだから、微笑ましいけど。


「意外と子煩悩なお父さんになりそう、一ノ瀬さん。」

「私もそう思う。」


 言い合いする男達を放って、私と志織ちゃんは穏やかに話せていた。

 愛おしい人との愛おしい子に会えるまで、残り1か月。
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