君と始める最後の恋
──────────☁◝✩



「おぎゃー!」


 沢山の機械と人に囲まれた状況で、精一杯痛みに耐えて力んだ後、高い鳴き声の様な声でようやく狭い道を通って空気を一杯に吐き出した事を知らせる。

 疲労感もあったけど、問題なくその声を上げた我が子の事に安心して力が抜ける。

 周りが慌ただしく声を掛けながら、何かを言っているのは分かっていたけど、何も頭に入って来なかった。


「郁、お疲れ。」


 私の手をずっと繋いでいてくれた類くんが私の頭を撫でながらそう声を掛けてくれるのを聞いて、気の抜けた笑みを向けるので精いっぱいだった。


「カンガルーケア希望されてましたよね。出来そうですか?」


 助産師さんが生まれたばかりの子供を腕の中に抱いて私に話し掛けてくる。

 まだ目も上手くあかなくてうっすらと瞼を上げてきょろきょろと黒い瞳を動かしていた。


「今、手震えていて、類くん。抱っこしてあげてください。」

「え。」

「私が今すぐ出来ないので、代わりに抱いてあげてくれると嬉しいです。」


 私がそう言うのを聞いて、そっと助産師さんから生まれたばかりの子供腕の中に抱きかかえる。
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