君と始める最後の恋
 顔を洗ったりして戻ってくると机の上に朝食が並べられていた。

 類くんは再度泣き出した紬を抱きかかえている。

 要領が良くて羨ましい。

 家事か紬かを取る事しか私には出来ないのに、類くんがやるとどっちもこなせてしまうのが不甲斐なくてこんな所まで自分のポンコツさを思い知る。


「ご飯食べちゃって。紬見てるから。」

「何から何までありがとうございます。頂きます。」


 そう言って席に着いて両手を合わせて、用意してくれた朝食に手を付ける。

 久し振りに朝食をゆっくり食べられている気がする。

 紬を抱っこしながら歩き回ってその後、窓の外を何やら話しかけながら見せている。

 子供苦手そうなのに、花果ちゃんの時も思ったけど意外と慣れている。

 お義母さん、紬の性別聞いて驚いていたな。
 息子2人に孫は女の子2人なんて、幸せ空間…!とか言って。
 女の子も憧れていて嬉しかったようだった。


「この間一か月検診も終わったし、少しずつ散歩行ってみる?次の休みも。郁がしんどければ俺が連れてっても良いけど、紬と初めての散歩、一緒に行きたいでしょ?」

「何で私の考え毎回手に取る様に理解してるんですか?エスパー?」

「君が分かりやすいだけでしょ。」


 そう言いながらふっと笑うと紬の頬を指でツンツンとしている。
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