君と始める最後の恋
 紬の事は可愛くて仕方ないみたいで、類くんは帰ってきてからもずっと紬に構っている。

 正直類くんが紬の事に協力的なのは凄く助かる。

 少しでも紬の事を気にせず家事出来る時間が今の私には凄く貴重で、家事だけを出来ている時間が癒しだったりもするのだ。

 類くんには少しでも休めばと言われるけど、仕事もしていない劣等感からか、類くんが仕事もして家事も育児もしてくれているのに私が育児しか出来ないのが申し訳なくて仕方ない。

 当然、類くんにこんなことを言ったら「そんなこと無いから、思う必要ない。」と言ってくれるのも分かっていた。

 そんな事を考えていると、類くんは紬を見ながらふっと微笑む。


「紬の目…、君に似てきたよね。」

「え…、私は類くんに似てきたなと思うんですけど。」

「いやいや、君でしょ。」


 そう言いながらじいっと紬の顔をまじまじと見ている。

 私に似てるなんて思ったことも無い。

 うちの母ですら紬の顔を見て「類さんにそっくりね。」なんて言っていたのに。

 類くんに似た紬の顔は親バカと言われてしまうかもしれないが、既に美人に出来上がっていた。
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