君と始める最後の恋
 それから2ヶ月経った、平日のある日のこと。

 相変わらず夜は寝てくれるけど起きている間抱っこしていないと泣いたりもして家事との両立が厳しい中、類くんに会社に紬を連れてきてほしいと頼まれて久し振りに元職場の営業部を訪れていた。

 慌ただしいオフィスに午後から顔を出すと、志織ちゃんが気付いてくれる。笑顔を向けると小走りで寄ってきてくれた。


「郁先輩!と紬ちゃん!」


 抱っこ紐にくるまれた紬は気持ち良さそうに今は眠ってしまっている。


「志織ちゃん、久し振り。類くんにみんなに顔見せにきてって言われて。今お邪魔じゃないかな?」

「邪魔なわけないじゃないですか!一ノ瀬さーん!」


 紬を起こさない様に大きな声を出さない様に気を付けつつも類くんを読んでくれる。

 類くんはこちらに気付くとゆっくりと近付いてきて紬を見るなり表情が柔らかくなる。


「大丈夫だった?」

「抱っこ紐してからは静かでしたよ。」

「そう、部長とかにも見せたいからちょっと付き合って。」


 そう言って私の肩を優しく抱き寄せてそちらに連れて行く。

 会社でこんな風に接する事は無かったから何だか変な感じだ。
 周りの注目を何だか浴びてしまっていて気恥かしい。

 部長への挨拶も済ませて、それから2課と3課の方に顔を出して、挨拶回りもしていた。

 それ自体に特に文句はなかったけど、気にかかったのは部長の言葉だった。
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