君と始める最後の恋
「あ…いや、下準備は済んでるので少し待ってもらえたらすぐご飯にします!先お風呂に入ります?」


 そう言いながら笑顔を保って話すも類くんの返事はない。

 ただただ黙って私の姿を真顔で見つめていた。


「郁。」

「お風呂も掃除からなんでちょっと時間掛かっちゃうかもですけど、お風呂の方が早いかもですね~。」

「良いから、一回座って落ち着いて。」


 私の様子を変だと察知した類くんが私の肩を優しく掴もうとしたのを思わず払ってしまう。自分で思わず払ってしまった事に驚いてハッとする。

 自分が何も出来ないと思って追い詰めて、その上で何でもできる類くんと比べて卑屈になっていった。

 自分でも気持ちの余裕の無さを感じるのに相変わらず頼るのが下手なまま今の今まで無視して、遂に壊れる音がした。


「…ごめんなさい。」


 やってしまったと思った時には遅くて、類くんの溜息が聞こえてくる。その溜息が今のメンタルには大分堪えてしまった。


「何考えてんのか分かんない。俺がどうしたら良いのかあるなら言ってよ。」


 顔には疲れを見せていて、少し呆れている様なそんな顔。
 いつも勝手に抱え込んで余裕が無くなっていく私に類くんも疲れていたのかもしれない。

 この時の私には類くんの気持ちまで考える程の余裕は皆無だった。
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