君と始める最後の恋
 車の中での帰り道、バラの匂いで車内が包まれて良い香りがしている。潰さない様に大事に抱えて、いまだに腕の中にある花束を抱える。

 このまま紬を迎えに行くのかと思えば、車は実家ではない方向に向かっていた。

 どうして違う方向に進んでいるのかと、少し焦る。


「あ、の。類くん?」

「何。」

「紬のお迎えは?」

「帰りたい?」

「え?」


 会話が成り立っていない。
 でもこういう聞き返し方をしてくる類くんにはいつも何か裏があることは、長年の付き合いにもなれば流石にわかる。

 類くんは私のリアクションを見ると少しだけ笑う。


「今日、元々紬は実家に泊まりの予定。」

「…え!?」


 紬は何も言っていなかった。
 それどころかお義母さんも類くんも。

 予想外の展開に驚く。


「な、え?でも、あんなおしゃべりな紬が何も言ってなかった…。」

「俺と内緒って約束したから。紬は任務が好きだから、ママを喜ばせるために協力してって言ったら両手で口抑えて頷いてた。」


 その時の紬の様子を思い出しているのか、笑っている。
 
 通りで最近の紬の様子がおかしかったはずだ。
 昨日もお風呂から上がって「明日はばあばのお家に…」まで言ったらハッとして口元を両手で抑えていた。

 別に何も間違っていないのに危ないみたいな反応していたから、おかしいなとは思っていた。
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